フォークランド戦争から30年、アルゼンチンの旗色は?

フォークランド戦争といっても、平成生まればかりの学生にしてみれば、私に満州事変の話をするようなもので、なかなかぴんと来ない様子。

1982年3月19日にアルゼンチンに近い南大西洋の英領フォークランドに「解体業者」を装った一部隊が、海軍輸送艦「バイア・ブエン・スセソ」で入国手続き一切を無視して、サウス・ジョージア島に上陸し、アルゼンチン国旗の掲揚などを行ったのが始まりです。アルゼンチン軍は大奮戦し、英国の艦艇を多数撃沈するなどしてサッチャー首相を苦しめました。

戦闘は6月14日までの約3ヶ月続き、最終的にはアルゼンチン軍の降伏で終わりました。「西側」の国同士の近代兵器を使用した戦争として記憶されています。


フォークランドの旗

アルゼンチンの国旗

イギリスの国旗

マルビナス諸島(英国名:フォークランド諸島)に近いアルゼンチン南部のウスアイア港で「マルビナス戦争」の戦死者を悼み花を投じるフェルナンデス大統領。
現地時間ではこの戦争が始まった3月2日。(産経新聞3月4日付)

クリスティーナ・フェルナンデス大統領

フォークランド(スペイン語名マルビナス)諸島の旗は英国のブルーエンサイン(英国旗をカントンに置いた青地の旗)に大型の紋章をつけたもので、1999年の制定。紋章には島の主産業がウール製造であることを示す羊と牧草が描かれ、その下には波模様と帆船デザイアー号(Desire)が描かれています。この船は1592年にこの諸島を発見した英国の探検家ジョン・デイヴィスが乗った船です。下の帯にはフォークランド諸島のモットー「Desire the right」が書かれている。どう訳したらいいのでしょうね。「デザイアー号、この船に権利あり」でしょうか。

今年はそのフォークランド戦争から30年、2012年3月2日、アルゼンチンのフェルナンデス女性大統領は南部ウスアイアでの式典で、同諸島の領有権を改めて主張しました。

大統領は「英国によるフォークランド諸島の実効支配は21世紀の植民地主義そのものだ」と批判し、英国企業による同諸島周辺での石油採掘は直ちに中止されるべきだと訴えました。

また、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの英国大使館前では同じ2日、英国政府に抗議する右派勢力のデモ隊による投石に警官隊催涙ガスなどで応戦し、警官官を含む5人が負傷する騒ぎになりました。

ただ、フェルナンデス大統領が最近、英国への批判を一段と強めている背景には、国民の愛国意識を高め「インフレの進行に不満を抱く国民の目をそらすため」(経済専門家)との見方も少なくありません。

アルゼンチンの年間インフレ率は公には7%と発表されていますが、実際には約22%ともいわれるひどい状況なのです。このため大統領への支持率も3月時点で、42.1%にまで低下し、以前の半分程度に低迷しているのです。

一方、アルゼンチンには、他の中南米諸国にも共闘を呼びかけ、各国も概ね足並みをそろえているように見えますが、実際には、ブラジルやメキシコのような地域大国も英国と事を構える気なく、「フェルナンデス政権の旗色は必ずしも良くないのが実情」という見方もあります。

そういえば、アルゼンチンの国旗って、青の明度が高いせいか、「旗色は必ずしも良くない」ように思うのは気にしすぎでしょうか?

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