パラオ国旗の月と「日の丸」

太平洋と満月を表わすパラオの国旗は、尊敬する名越二荒之助高千穂商科大学教授(故人)などにより、日本の「日の丸」がモデルといわれてきました。
「日本(太陽)の光を受けて輝くパラオ(月)」、「日本に遠慮して真ん中より横の10分の1だけ竿側にずらした」私もなるほどと思っていた時期もありましたが、あまりにできすぎた話で2010年、パラオを訪問した私は、パラオ国旗をデザインした人物をコロールの自宅に訪ねました。


2010年10月、パラオの国旗をデザインしたジョン・ブロー・スキーボン氏と

パラオは独立準備中の1979年に国旗のコンペを行いました。
その結果、ドイツ系青年であるジョン・ブロー・スキーボン(Johan Blau Skebong)氏の青地に黄色い「月の丸」(円の中心は竿側に横の10分の1寄る)という案が約1,000もの応募作から選ばれて採択されたのです。
それが翌80年に、将来の国旗として決定され、94年に独立した時、これをクニオ・ナカムラ初代大統領が正式に採択したものです。
お会いした時は76歳で5年前に脳梗塞を患い右半身不自由な体で車椅子に座っておられましたが、大家族に囲まれて幸せそうでした。

「パラオは美しい海に囲まれた島々です。当時は電気も不自由でした。ですから夜は真っ暗。満月がいかに美しいかご想像下さい。日本の国旗を意識したかって? 日本時代を知っていますし、船乗りですから戦後も何度か日本の港にも行ってます。でも、デザインしたとき、特段にそうした意識はありませんでした。」

貴重な証言をいただきました。
同じ日、私は、今はビジネスマンとなったナカムラ氏とは電話でお話をしました。
同様の意見でした。
そして、パラオには満月にまつわるたくさんの物語や伝説があると教えてくれました。
国立博物館には、満月が海に輝く夜、椰子の木の下で大勢の人が太鼓を叩いて喜び合っている絵があったのが印象的でした。

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