世界一高い国旗掲揚塔の物語

2011年10月3日の朝日新聞で知りました。
旧ソ連のタジキスタンが世界一高い国旗掲揚塔を建てたというのです。
早速、この国に事務所を構えている日本の唯一の国際協力NGO難民を助ける会の堀江良彰事務局長を通じて、井上善雄駐在代表に写真を依頼したところ、既に撮影していたそうですが、ほんの10数分?でデータが届きました。
便利な時代ですね、と今更ながら感心してしまいました。

井上君からは「ソ連からの独立(離脱)20周年に併せて世界一の国旗掲揚台が建設され、ギネスに認定されたそうです。市内からも見ることができますが、旗が重くなかなか風になびきません」との説明がメールで寄せられました。

それでもタジキスタンとしては「国威発揚」でしょうか、ナショナリズムの1つの表出の結果でしょうか。

副島英樹モスクワ特派員によるタジキスタン訪問の記事(要約)です。

ソ連崩壊から20年。中央アジアの山岳国タジキスタンは独立記念日の9月9日を前に、首都ドゥシャンベに国旗掲揚台が建設された。高さ165メートル。霞が関ビルや京都タワーを軽くしのぐ。

でもなぜ、高く掲げることにこだわるのか。
昨年9月に旧ソ連アゼルバイジャンの首都バクーに高さ162メートルの国旗掲揚台が完成するまで、高さ世界一は北朝鮮だった。

韓国との威信の張り合いで、南北境界線に近い北朝鮮の「宣伝村」に高さ160メートルの国旗掲揚台を作ったという。
それをしのいだアゼルバイジャンの世界一の座も、わずか1年で奪われた。

それを2メートル上回った。旗の大きさは長さ60メートル、幅30メートル。重さは350キロ。
まるでスローモーションのように風になびき、パタッ、パタッと音を響かせる。

旗は機械で巻き上げるが、掲揚するのに14分かかったそうだ。
台座にはタジク語で「国旗は民族の誇り」と刻まれている。

私は決して豊かな国ではないトルクメニスタンが、国旗を中心にここまで無理をするのかと疑問に思わないわけではないのですが、「ソ連の構成国だった時代、初の有人宇宙飛行など世界に誇るものがあった。
失った誇りを今、取り戻そうとしているのだろうか」という副島記者は締めくくりの部分に何となく理解できるような気がします。

さきほど私はわずか十数分で、日本とはあまりなじみのない国からでもその国の情報を入手できるという実例を挙げましたが、だからといって、「世界は1つ」というわけではないということも、当然ながら私たちは認識しておく必要があります。

21世紀の今の世界は依然として、主権国家によって国際社会が構成されており、国境や領土は厳しく管理され、安全保障や外交はそれぞれの政府の差一重要課題になっています。
まして他国の政治や経済に自由に関わることなどまったくなしえないのです。
むしろ、お互いの理解を進め、互譲と互恵の精神でお付き合いをすることをきちんとしなくてはなりません。

各国の国旗はそれぞれの国を象徴し、お互いにこれを理解し、大事にしてこそ、世界の平和と発展が図られると私は思います。

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