中学入試問題⑨ – 足立学園中学校


国連旗

2011年の足立学園中学校の入試問題は、私にはとても小学校6年生の学力を試す問題とは思えないレベルのように見えました。「問5」にはおそらく、赤十字旗や五輪旗でも併記されていたのでしょうね。活字だけの問題集からの転載ですので、それは確かではありませんが…。

第二次世界大戦中からアメリカを中心に連合国の間で戦後の平和と安全を守るための新しい国際組織を作ることが話し合われました。そして,戦後、(c)国際連合が発足しました。

国際連合の本部は(3)に置かれ,支部は世界各地に設置されています。また,国際連合は(d)重要な6つの機関と,多くの専門機関から構成されています。(e)日本も1956年に国際連合に加盟し,国際社会に復帰しました。

問5 下線部(c)について,国際連合の旗として適切なものを次から選び,記号で答えなさい。

問6 文中(3)に適する都市名を答えなさい。

問7 下線部(d)について,この機関の一つとして安全保障理事会が挙げられます。日本は,任期2年の非常任理事国として,最も多く当選しています。2011年2月現在,日本の当選回数として適切なものを次から選び,記号で答えなさい。

(ア)8回 (イ)9回 (ウ)10回 (エ)11回 (オ)12回

問8 下線部(e)について,この出来事と最も関係が深いことを次から選び,記号で答えなさい。

(ア)ポツダム宣言        (イ)日ソ共同宣言
(ウ)サンフランシスコ講和条約  (エ)日中平和友好条約

特に、「問7」「問8」に至っては、大学2年生ぐらいの国際政治学基礎講義(概論)の試験問題にしてもいいような気さえします。

「問7」の正解は「10回」です。任期2年の安保理非常任理国は地域バランスを考え、アジア2、アフリカ3、中南米2、西ヨーロッパなど2、東ヨーロッパ1の配分になっています。

非常任理事国は毎年国連加盟国の無記名投票で半数を改選し、選出には3分の2加盟国の賛成が必要です。もし、どの国も条件を満たさない場合は何度でも投票を繰り返します。日本は国連加盟以来10期20年間、非常任理事国でした。これだけ長い任期はブラジルとともに最も多い回数です。

「問7」の正解は、1956年10月の「日ソ共同宣言」です。これによってソ連との国交が回復し、ソ連が日本の国連加盟に反対して拒否権を使うことがなくなりましたので、日本はスムーズに国際社会への全面復帰を果たすことができたのです。

ところで、そのソ連(ソビエト連邦)という国は、1991年12月25日までに完全に崩壊し、15の共和国に分解しました。国連には創立当時から、ソ連、ウクライナ、白ロシアと3つの議席を持っていましたが、国連安保理常任理事国はロシア共和国が引き継ぎ、15カ国全部がそれぞれに国連加盟国となりました。

ところで、キッズのみなさん、この入試問題の答えが解りましたか? 保護者のみなさんはこの問題をどう思われますか? 繰り返しますが、私は小学生に求める内容をはるかにこえているのではないかと、思うのです。

  • URLをコピーしました!
目次