山を描いた国旗⑨ コスタリカの3つの火山

中米パナマの北側に位置するコスタリカの国旗は1848年まではニカラグアヤエルサルバドル、ホンデュラスと同じような青白青の横三色旗でした。この年に中央に赤くて太い帯を置き、今とよく似た紋章を付けました。現在の国旗は1906年11月27日に制定されたものです。


コスタリカの公用国旗

コスタリカの国旗にもある国章

民間ではこの国章が入ったものは事実上、用いられていませんが、私たちは国連本部、駐日大使館など公的機関で見るほかはまずこの国旗に接することはなく、また、オリンピックでもその都度、紋章の付いたものやつかないものが使用されております。

紋章を注意深く見ると、観光資源にもなっている3つの火山、すなわちイラスー、ポアス、アレナル火山が噴火している状態が描かれているのがわかります。

イラスー火山(Volcán Irazú)は、コスタリカのカルタゴ近郊にある火山です。山頂の標高は3,432m。過去に災害を起こしたことから “El Coloso”(神話に登場する巨像)とも呼ばれています。

山頂には多くの火口があり、緑色の水をたたえたさまざまの深さの火口湖があります。コスタリカで最も海抜の高い活火山です。首都サンホセから近く、山頂まで続く道路を定期的に走行するバスもあり、この国の最もポピュラーな観光地にもなっており、山頂にはテレビの中継局も建っています。

天候が良いときには山頂から太平洋と大西洋の双方を見ることができますが、山頂は雲に覆われていることが多くそのような機会はあまり多くはないようです。

2番目の山はコスタリカ政府観光局の資料によれば、標高2704メートルのポアス火山(Parque Nacional Volcan Poas)。この国で最も人気のある観光スポットの1つで国立公園として指定されています。噴火口は幅1.3キロ、深さ300メートル。これは世界最大級の火口なのだそうです。

そこにあるカルデラ湖は間欠泉と、青くて美しく訪ねる人々を興奮させるほどです。指定された遊歩道を歩きながら見ることができる動植物も多く、特に、ハチドリの観察が人気です。霧が多いのが難点ですが、天気のいい日は東にカリブ海、西に太平洋が臨めます。


山中湖から見る富士山ではありません。コスタリカのアレナル湖から臨むアレナル火山

3つ目はアレナル火山( Volcán Arenal)は、首都・サンホセから北西に90キロ離れた中北部アラフエラ州に位置する標高 1,633メートルの活火山。山容は富士山のように秀麗な円錐形で、山頂の火口は直径140メートル。7千年ほど前に噴火活動を開始した、地質学的には非常に若い火山です。数百年間にわたって噴火活動を休止しており、噴気孔が見られる以外には全山を植生に覆われていましたが、1968年に突如として噴火活動を再開し、山麓にあるタバコン(Tabacón)の街を破壊し、78人もの犠牲者を出したのでした。この時に3つの火口が形成され、そのうち一つは今でも活動を続けています。

コスタリカの国章には両側に帆船が浮かんでおり、カリブ海と太平洋を表しています。かつては中米連邦を表す5つの星でしたが、現在の国章には星が7つ。この国の七つの州を表しているものです。太陽はカリブ海から昇る様子を表し、外枠のビーズ状に多数並ぶ粒は長らくこの国の主要作物であり、輸出品だったコーヒー豆。コスタリカCosta Rica(英語のRich Coast)にとってコーヒーの生産は最も重要な産業であり、El Grano de Oro(黄金のビード)とまで言われています。2つのリボンにはAmerica Central”(中央アメリカ)と、国名が描かれています。

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