あと2ヶ月ほどたつと、横浜でTICADⅤ(第5回アフリカ開発東京国際会議)が開催される。5年に一回の会議。5年前、この会議を取り仕切った(はずの)日本の首相は? 福田康夫さん。最終日の晩餐会には両陛下もご出席なされ、私も末席に連なる光栄に欲した。それにしてもそのあと、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦、そして安倍晋三と続き、日本はこの間に6人目の首相だ。
どの政治家が首相として良かったの悪かったの最悪だったという前に、こんなに頻繁に首脳が交代して国家は外交ができるのか、と慨嘆せざるを得ない。これではドイツに翻弄された第三共和政時代(1875~1940)のフランスを笑えないではないか。
TICADⅤには前回同様、50を超えるアフリカの国々や国際機関からトップが来日することと思われる。スワジランドの第8代国王マコセティブ・ムスワティ3世(Makhosetive Mswati III、1968~)は前回、美しい王妃を伴って来日した。今回も出席すれば、最長期在位元首として外交辞令上の最高の敬意を表して遇されるはずだ。
ムスワィ3世とシカニソ王女
この人、1986年、父ソブーザ2世の死後、ゼリーウェ王妃及びヌトンビ王妃の摂政時代を経て正式に即位。以後28年間にわたり、アフリカ最後の絶対君主として君臨している。
スワジランドは1968年、英国から独立した、南アフリカ共和国とモザンビークに囲まれた内陸国。国民の1/3が貧困層という状況にあって、王室の贅沢ぶりは度を超しているようだ。自家用のセスナ機、邦貨5千万円以上というダイムラー製の高級車マイバッハを所有したり、13名以上といわれる后のために数々の宮殿を建設したり、毎年7万人もの処女が参加して、上半身裸で踊るリード・ダンスという国王のための儀式も行われるなど、羨望より呆れる対象となっている。
もっとも、これに参加した女性は、国王の后となって宮殿に住みたいなどと発言しているというのだから、おそらくは、われら21世紀の極東の島国で暮らす庶民がとやかく言う筋合いではないのであろう。
1986年の国王即位式に際して、中曽根康弘首相への招待状の宛名が「日本国王ナカソネ」と書かれていたため話題となったこともある。もちろん、日本側に不手際はないのだが。