新樹会東北セミナーが6月1日、郡山市内のホテルで開催された。昨年7月に安倍晋三現首相をゲストに宮城県青年会館(仙台市)で開催したのに次ぐ、通算20回目の同セミナー。今年は、渡辺五郎三郎福島新樹会代表幹事による「中庸に学ぶ」と月尾嘉男東京大学名誉教授による「日本100年の転換戦略」の2つの講座が中心。時節柄、会費1万円で心配したが、東日本を中心に各地から約150人が集まった。
国旗に向かって正対して国歌を斉唱した後、渡辺五郎三郎福島新樹難民を助ける会代表が挨拶した。
渡辺先生は、陸軍豊橋予備士官学校時代の、わが師・末次一郎先生の恩師。つまり私は孫弟子に当たる。95歳とはいえ、矍鑠などというていどではない元気さ。東日本大震災の折にも東京から福島に向かう新幹線が停車し、線路伝いに2時間歩いて、さすがに「足を痛めた」というほど。東洋哲学への造詣を集約して、「中庸」を説いてくれた。
月尾先生はご専門の建築学ではなく、世界的な視野と歴史的な視点から今の日本の立ち位置をグラフや数字を使って説明され、世界の情報社会傾向にどう対応するかで日本の運命が決まるとお話された。
その切れ味は実にすばらしく、今週末、福岡で1500人を前に(麻生太郎後援会「素淮会」での記念講演)国旗について話をする身としては、いろいろ参考になった。ただ、「かくも絶望的な数字ばかり並べられたことにはやる気が起こらないではないか」と懇親会の席上、個人的に注文をつけておいた。
というのは、日本には①所得格差が相対的に少ないこと。②高い基礎教育の普及と教育熱心さ、③社会的安全性と社会秩序の安定、④効率と正確さを誇る職人気質、⑤食品の安全、⑥交通機関への信頼性の高さ、⑦国民の向上心と好奇心の高さ…私は視聴者の腰が引ける話ばかりではなく、こうした面にも触れてほしかったと申し上げた。
元全国新樹会事務局長として末次代表幹事に仕えた者として、こうした会合を主催することの難しさを知っているつもりなので、準備された方々には、深甚なる敬意と謝意を表したい。次回は9月7日1330から東京で開催される「末次一郎先生13回忌記念のつどい」での再会を約してお別れした。