11月20日の産経新聞は「比台風への人道支援 中国の冷淡ぶり 欧米が批判」という記事を1面に掲げた。国旗入りで判りやすく編集しているが、私はそれを支援額と国旗の大きさで、一目瞭然、大胆に表してみたい。
記事は最後に転載する。この記事が掲載された後、中国は病院船を派遣することを発表した。それでもまだまだ。アメリカは1万人の人員を派遣、日本も自衛隊員1,000人を派遣、NGOも相次いで出かけている。難民を助ける会は五十嵐、杉澤というエース二人が、いち早くレイテ島に渡っている。
中国は、世界第2の経済大国として、天災にあえぐ隣国を助けるという人道的な行為が政治関係を超えることを知るべきだ。私は1994年10月、北方領土を襲った北海道東方沖地震に際し、仲間と語り合い、外務省や北海道を動かし、被災9日目に、7800万円相当の救援物資を3隻の船に積んで、色丹島と国後島に届けたことがある。詳細は、拙著『NGO海外ボランティア入門』(自由国民社)を参照されたい。
■国内世論考慮? 当初は1000万円
【北京=川越一】中国が、台風30号で甚大な被害を受けたフィリピンへの人道支援への対応に苦慮している。欧米メディアは当初示した支援額が10万ドル(約1千万円)、中国赤十字分を合わせても20万ドルだと批判。中国政府は19日までに約160万ドル分の救援物資の支援を発表したが、時機を逸した感は否めない。中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報は「マニラに冷たい態度を取れば、中国は多大な損害を被る」と国際的なイメージ低下を危惧している。
中国政府の支援額は追加分を含めても、日米両国どころか、270万ドルをチャリティー基金から供出したスウェーデン家具大手イケア、250万ドルを寄付した清涼飲料メーカー、コカ・コーラグループといった民間支援にも及ばない。米誌タイムなど欧米メディアは世界第2位の経済大国が示した支援額を「取るに足らない」と非難した。香港や海外の専門家は南シナ海でのフィリピンとの領有権争いなど関係悪化が消極姿勢の背景にあると指摘している。
一方、中国外交学院の外交問題専門家が米紙ニューヨーク・タイムズに語ったところでは、中国政府は、国内の「反フィリピン感情」を考慮した可能性がある。中国のポータルサイト「騰訊網」のアンケートでは、約84%の回答者がフィリピンへの援助に反対。香港フェニックステレビのオンライン調査でも、6万件の回答の95%が反対した。中国版ツイッター「微博」には「一銭も与えるな」との意見も出ている。
中国外務省の報道官は連日、定例記者会見で領有権争いの影響を否定し、「中国国民は深い同情とお見舞いの意を表する」「できる限りの人道支援を行う」とし、「ネット世論」は少数意見だと強調。緊急医療チームの派遣体制も整え、フィリピン側の許可を待っているとしている。中国が今後の支援を急いでも、日米などとの差を埋めるのは容易ではない。香港の政治科学専門家はロイター通信に「中国指導部は寛大さを見せる機会を逃した」とコメントした。