国家安全保障局(NSA)による個人情報収集を暴露し訴追された中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者(30)は依然モスクワ・シェレメチェボ空港内にとどまっているとみられているが、これまでに25、6カ国に亡命申請をしたようだが、7月6日までに、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグアの中南米3カ国の首脳が受け入れを表明した。
しかし、移送については、米国が大いに干渉するものと見られている。具体的には給油地や空域を提供しないよう関係国に働きかけ、また、受け入れそうな国には通商関係などの厳しい見直しを示しているものと思われる。
ベネズエラにとってアメリカは産出原油の4割の輸出国、最大の貿易相手国だ。その輸入が止まれば、他に輸出先を求めるのは、特にこの場合、容易ではない。
ボリビアとの関係では、7月2日、モラレス大統領がモスクワから政府専用機で帰国しようとしたところ、スノーデン元職員の同乗が疑われ、ヨーロッパ各国から飛行制限を受け、かろうじてウィーンに一時着陸をしたという経緯もある。
ニカラグアはオルテガ大統領が反米左翼ゲリラの出身で、故チャベス・ベネスエラ大統領とは盟友だったことから、したくない選択であっても、受け入れの表明に至ったのであろう。この国の外交政策には理解至難なところが多々あり、例えば、反米を標榜するキューバやベネズエラ、エクアドル、ボリビアの各政権と友好関係を結び、2008年9月には、ロシアに続き、グルジアからの分離独立を主張するアブハジアと南オセチアの独立を承認した。また、ニカラグアはパレスチナと中華民国(台湾)を国家として承認している。
さて、御立ち合い。ここはプーチン大統領がどう「大人の判断」をし、オバマ大統領との折り合いをつけるか、しかと見定めようではありませんか。